資本主義ってなんだ

理解したくて本を読んだ。『父が娘に語る、美しく、深く、壮大で、とんでもなくわかりやすい経済の話』という、そんなにも修飾語重ねます?ってタイトル。

著者はギリシャの経済危機時に財務大臣を務めていた方で、寓話のように表現豊かに資本主義を説明していて面白かった。

今回は、なかでも印象に残った「交換価値」と「経験価値」の話に絞って書きたい。

 

内容要約および著者の主張

交換価値とは、値段で価値を測るという今の市場社会でのスタンダードだ。

しかし著者は、そこでは認められない経験価値(経験それ自体の喜びという価値基準)を尊重できる社会にすべきだと主張している。

たとえば献血が有償の国では無償の国より血液が集まりにくいなど、お金を払うことでかえって価値が薄れるケースもある。家族や友人が助け合うのも市場取引でなく親密さの証であるように、経験価値は生産性でなく人間性に光をあてる思想だ。

 

すべてが商品の社会に思うこと

個人的には、交換価値が強すぎる社会は利益追求の苦しさもあると思うけど、風土としても「あいつは”使えない”」みたいな、人を道具として扱っていいやの「いいやっ」って気持ちにさせやすい気がする。

自分に対しても相手に対しても、人間性の尊重が結果的に成果にも繋がる実感や仕組みが広まれば、市場価値=人の価値的な混同も減るのかな。

じゃあどうする?

先の本では具体的な施策として、企業が所有する機械(資本)の一部をすべての人で共有し利益の一部を自動で労働者の口座に入金するといった「民主化」を訴えていた。

こういう分配や共有の考え方ってわりと目にするけど、賃上げという形での還元とは意味合いが違うってことだよな。賃上げだと市場社会の中で商品としての値段を上げるという大枠は変わらないし。

んー、まだ現状理解で手一杯。もっと意見持ちたい。

 

参考文献:『父が娘に語る美しく、深く、壮大で、とんでもなくわかりやすい経済の話。』 ダイヤモンド社