2023-01-01から1年間の記事一覧

300文字プレゼン!それでも好きを語らせて#1(『麦本三歩の好きなもの』『まちカドまぞく』)

プレゼンというものは難しい、が、それでも伝えたいのである。 この企画は、僕の好きな作品を300文字程度でプレゼンする、その名の通りのコーナーだ。 目指すはカップヌードルのような、早い・うまい・やめられない。てか300文字読んだらちょうどいい感じに3…

ありがとうクリスマス

家帰って風呂入って23時、そこから始まるクリスマスだった。 いつもならYouTube見ながらゆったり夕食の時間も、今日は部屋が慌ただしい。キッチンにまな板置くスペースがないので、いつも通りテーブルの上でがちゃがちゃ。 つまみ食いしたあまおうに「あまく…

ブログ2か月やってみてよかったこと~執筆は聖夜の恋人になりうるのか~

この2か月あっという間だった、なんて全然感じない。 よかったよ。 ブログやってよかった。続けられてよかった。 いや2か月書いてきて語彙力ぅ!って感じだけど、シンプルにね。 今日までに投稿した記事の数は、のべ16。書いたなー。数がじゃなくて、実感…

3分間だけウルトラな父になる

独身アラサー男、料理終わりのキッチンで決意を固める。 そうだ、ビッグダディになろう。 なに、婚活宣言ではない。そりゃ独身アラサー童貞男だって、彼女ができたら料理を振舞いたいなぁとか、エプロン姿の彼女と二人いちゃいちゃしながら餃子でも一緒に包…

上映終わりのあの空気感

エンドロールが終わって照明が再び戻った直後、部屋全体にたちのぼる湯気のようなざわめき。映画館でしか味わえない、上映終了直後の空気感が好きだ。それぞれが旅を終えてなにかを共有しあうような、あの熱気が好きだ。 ふうっという吐息とともに、弛緩、感…

僕の大大大好きな小説或いは身辺調査篇(『おいしいご飯が食べられますように』)

彼ら彼女らは生きている。 高瀬隼子さんの芥川賞受賞作『おいしいご飯が食べられますように』のキャラクター紹介編です。(この作品好きすぎるため、作品プレゼン編の加筆として書くことにしました。) 原作未読の方でもイメージ掴めるよう書いたので、漫画…

僕の大大大好きな小説或いは問題篇(『おいしいご飯が食べられますように』)

僕にとって、面白い作品は大きく二種類に分かれる。一つは読んだあとに「でもしばらく読み返さないだろうな」と思う作品、もう一つは読んだ直後にもかかわらず「うわもっかい読み返そっ!」と思う作品だ。僕にとって好きを超えて「大切」になる作品は、圧倒…

合いびき肉と自己紹介

「そうか、合いびき肉って合いびき肉じゃなくてもいいじゃん」。 お会計ボタンを押した直後、僕はセルフレジで思わずつぶやく。進次郎構文ではない、意味的にいえばむしろ真逆の省察だ。自分への呆れと気づけただけ進歩じゃんという救いの混じった、清々しい…

演技経験ゼロの僕が演劇ワークショップで痛々しく無双してきた件

演技に必要であろう資質を軒並み欠いた僕は、しかし嬉々としてその場に乗り込んだ。 きっと得意ではないけれど、欲しいものがあまりにもそこに詰まっていたから。 先週参加してきた、1日体験型の演劇ワークショップ。2時間のなかで簡単なゲームや台本読み…

東京の銀河に浮かんできた

景色を映す瞳は今、丸い銀河のビー玉だ。 空を覆う淡く黒い天幕に、子供が白銀色の砂糖を余すことなくふりまいたような無数の輝き。東京の片隅で、僕は満天の星を浴びている。どこまでも広がる光点の大河は、首をこれ以上反らせないほど天を仰いでも視界に収…

日々は短し歩けよ死神

死神の吐息が、頭の中を包んでいる。両のこめかみに充満する、麻酔液が気化したようなぬるぅと鈍い感覚。まとわりついて離れない、いやなけだるさ。清浄だったはずの思考は、鮮明だったはずの世界は、とろんとした膜に覆われてぼやけてしまっている。思考は…

出会い系サイトの業者に恋をした

こんなんもう恋だろ。 出会えないと分かった彼女、いやかの“女”かすら怪しい存在へ送るメッセージを打ち込みながら、僕は自分に言い聞かせる。胸の中の動揺を振り切るように力強く、しかし確かな熱がこみあげてくるのを感じながら。 彼女を見つけたとき、僕…

「面白いもの」が怖いという生き方

面白い漫画を読むことができない。正確には、漫画に限らず小説、アニメ、映画、動画含め、面白い作品というものが見れない。YouTubeで、AmazonPrimeで、面白そうだなと思う作品を見つけても、再生ボタンを押すのをためらってしまう。見てみたいけど見るのが…

いざ、6年ぶりのフリータイム

"オール"、それは親密度ランクの初期に発生する確変イベント。「まあ数時間なら話してもいいか」から「まあ一晩過ごしてもいいか」へ関係性が深まった結果にして証。『誰かと過ごす深夜0時以降』という、親友欲しい勢にとってのまばゆく分厚い鉄の扉が開く瞬…

2度目のレジで会えたら

会計を終えてスーパーを出た直後、僕は後悔にとらわれていた。それは、はたから見ればとるに足らないものなんだと思う。でも自分にとっては忌み嫌う悪癖が出た格好で、そういう場合どんなに小さくても、看過も軽視もできないタチだった。 「なんであそこでも…

料理の悪魔と契約した

料理を作るのが好きだ。手間がかかるし面倒だと思うときもあるけど、好きだ。 じゃがいもの皮をむき終えた後の、原石をカットして薄黄色の宝石を取り出したような姿。 にんじん玉ねぎを切るときの、無心でリズムに乗る手元。まな板と包丁が鳴らすたんたんた…

利己心の限度はどこにある(『夏目漱石 こころ』)

人物評 先生 「人間らしさ」の体現者にして犠牲者。「俺は策略で勝っても人間としては負けたのだ」と自らの行いを恥じたが、それは先生のほうが精神的に複雑だった(人間らしかった)がゆえに起きたこと。やり方は灰色だったがお嬢さんへの愛情は後年にわた…

あなたの知らない「軍港めぐり」の世界(体験レポ#1)

船の中。窓に額を寄せるようにして、海の向こうに浮かぶ”それ”を見ている。ネットでしか見たことも聞いたこともなかった名前。遠目にも分かる巨体。青い波の鮮やかさ柔らかさと対照的な、どこまでも灰色で堅殻なフォルム。 ガイドさんの意気揚々とした声が船…

人生15年遅れな自己紹介

目が醒めたときには、人生15年遅れだった。 28歳、無職。新卒でIT企業のシステムエンジニアになるも、どのプロジェクトでも苦しくなって会社に行けなくなる(行かないことを選ぶ)を繰り返し、紆余曲折を経て昨年退職。 心機一転し「ワニマガジンのエロ漫…