あなたの知らない「軍港めぐり」の世界(体験レポ#1)

船の中。窓に額を寄せるようにして、海の向こうに浮かぶ”それ”を見ている。ネットでしか見たことも聞いたこともなかった名前。遠目にも分かる巨体。青い波の鮮やかさ柔らかさと対照的な、どこまでも灰色で堅殻なフォルム。

ガイドさんの意気揚々とした声が船内に響く。

「みなさん、隣に見えるあの大きな船、あれ空母です!アメリカ海軍の原子力空母、ロナルド・レーガン!」

その言葉を聞いたときの僕は、ネットの有名人を生で見たような非現実感と、しかしその存在が意味する現実に気の引き締まる、なんとも不思議な気分だった。

 

 

これは、筆者が実際に体験した「軍港めぐり」というツアーでの一幕だ。正確には「YOKOSUKA軍港めぐり」。神奈川県の横須賀市(我がふるさと!)で体験できるクルージングツアーである。これがとても面白かったので、横須賀好き勢の端くれとして、ぜひ紹介したいのだ。

 

<日本唯一!「YOKOSUKA軍港めぐり」とは>

アメリカ海軍や海上自衛隊の艦船を間近で見られるクルージングツアー(日本で唯一とのこと)。横須賀港という港のまわりを船でめぐるのだが、周囲にはアメリカ海軍施設と海上自衛隊の司令部があり、様々な艦船が停まっているのだ。

※軍港めぐりHPより引用(https://yokosuka-gunko.jp/)

 

<体験して感じたおすすめポイント!>

1.知識ゼロでも楽しめる理由

正直ここまでの説明を聞いても、「軍艦とか艦船なんて全然よく知らないし・・・」「見ても楽しいのかな・・」と思った人は少なくないだろう。気持ちはわかる。筆者も知識ゼロのド素人で乗船前は同じような不安を抱いてた。(「ま、新しい経験積み得っしょ」のノリだけで参加した)

だが心配は無用!我々には心強い味方がいるじゃないか。そう、ツアーの守護神、ガイドさんである。このガイドさんの説明が面白いのなんの!艦船の名前や役割を教えてくれるのはもちろん、艦船にまつわる豆知識を挟んでくれて、たとえば

原子力空母ロナルド・レーガンの中にはスタバが入ってる

のような小ネタ的なものから、

・(浮上中の潜水艦の入り口が黒いシートで覆ってあるのを指さして、)これは見る人が見れば、扉の形状からその潜水艦がどのくらい潜れるかだいたい分かってしまう恐れがあるため隠してる

のような防衛分野らしい雑学まで。親しみも深みもあって「やばいこれ、知的好奇心めちゃくちゃそそられるわ」と予想外の刺激に脳みそが発火しまくりだった。

 

2.どんな艦船を見れるかはお楽しみ

他にも軍港めぐりならではといえるのが、どんな艦船を見れるかは搭乗した日次第のお楽しみという点。なぜなら、軍の艦船はツアーに合わせて来てくれるわけでなく、「本当に各軍の運航スケジュールに基づいて停泊してるから」だ。だから出会えるのは艦が寄港している間だけ。言われると当たり前だけど、このリアル感ライブ感!。だからこそ「今日来てよかったな」と思えて、より思い出に残る体験になった気がする。

ちなみに筆者が体験したときに見れたのは、

  • カナダ

カナダ海軍のフリゲート

一番右(番号331)はフリゲート艦「バンクーバー
  • 米国

前述の原子力空母ロナルド・レーガン

一番左がロナルド・レーガン
  • 日本

・南極観測へ行く際に乗る砕氷艦「しらせ」

アニメ『宇宙よりも遠い場所』で出てたやつ!

・陸に浮上中の潜水艦

護衛艦

左から「せんだい」(232番)、「あさぎり」(151番)

など

※ガイドさんいわく、ここまで見れるのは相当運がいいらしい。(カナダ海軍としらせを一緒に見られるのは、10年に1回レベルとまで言っていた)

 

<体験を終えて感じたこと>

以前よりも「防衛」を近く感じるようになった。これが一番嬉しい変化だったと思う。

カナダ艦隊の船のデッキを見たら屈強なカナダ海軍の男たちが集結してて、「ああ、本当にこの人たちが日本の自衛隊と協力したりしてるんだな」としみじみ感じた。だから、「自衛隊に先制攻撃能力を~」とかいきなり考えて苦しくなるくらいなら、エンタメとしてコンテンツを楽しむだけでもいいんじゃないかと。軍港めぐりじゃなくてもいい。YouTubeで、自衛隊の駐屯地のお部屋紹介したり隊員にインタビューしてる動画もあったりする。好きなYouTuberを見るときみたいに軽いノリで再生してみたら、新しい世界を知れるかも(筆者は先日、映画『沈黙の艦隊』を見に行ってみた。玉木宏さんまじお美しかった)

長くなってしまったが読んでくれてありがとう。ではまた次回っ!