2023-11-01から1ヶ月間の記事一覧

僕の大大大好きな小説或いは問題篇(『おいしいご飯が食べられますように』)

僕にとって、面白い作品は大きく二種類に分かれる。一つは読んだあとに「でもしばらく読み返さないだろうな」と思う作品、もう一つは読んだ直後にもかかわらず「うわもっかい読み返そっ!」と思う作品だ。僕にとって好きを超えて「大切」になる作品は、圧倒…

合いびき肉と自己紹介

「そうか、合いびき肉って合いびき肉じゃなくてもいいじゃん」。 お会計ボタンを押した直後、僕はセルフレジで思わずつぶやく。進次郎構文ではない、意味的にいえばむしろ真逆の省察だ。自分への呆れと気づけただけ進歩じゃんという救いの混じった、清々しい…

演技経験ゼロの僕が演劇ワークショップで痛々しく無双してきた件

演技に必要であろう資質を軒並み欠いた僕は、しかし嬉々としてその場に乗り込んだ。 きっと得意ではないけれど、欲しいものがあまりにもそこに詰まっていたから。 先週参加してきた、1日体験型の演劇ワークショップ。2時間のなかで簡単なゲームや台本読み…

東京の銀河に浮かんできた

景色を映す瞳は今、丸い銀河のビー玉だ。 空を覆う淡く黒い天幕に、子供が白銀色の砂糖を余すことなくふりまいたような無数の輝き。東京の片隅で、僕は満天の星を浴びている。どこまでも広がる光点の大河は、首をこれ以上反らせないほど天を仰いでも視界に収…

日々は短し歩けよ死神

死神の吐息が、頭の中を包んでいる。両のこめかみに充満する、麻酔液が気化したようなぬるぅと鈍い感覚。まとわりついて離れない、いやなけだるさ。清浄だったはずの思考は、鮮明だったはずの世界は、とろんとした膜に覆われてぼやけてしまっている。思考は…